|
北アイルランド・ベルファスト 3日目 涙の雨 第一話 2004/06/21(月) 〔涙〕塩化ナトリウム、すなわち食塩が約2パーセント。 たんぱく質をその他を含み、かすかにアルカリ性を呈する。 また、リゾーチームという殺菌力のある物質をも含み、清潔に保つ作用を持つ。 このところ産業界は、なにか一飛躍狙っている。 いや、やらざるおえないのだ。 小手先の思いつきのたぐいは出尽くしているし、物足りない。 セックスもスリルも限界にきている。 ぐっと胸にきて、原始的な強い刺激もあり、 世代間や階層の間の断絶を埋め、 世の中を包み込んでしまうようなものだ。 かくして<なみだ計画>を実行することになった。 予想以上に順調だった。みんな泣くのが好きなのだ。 下地は十分にあった。肥沃な土壌が、 種をまかれるのを待ち構えていたようなものだ。 まず歌手を作り出す。 悲しさの権化みたいな表情と声を持った女性を探し出した。 また男性歌手も作った。少しごつい感じのを、男泣きに歌わせるのだ。 テレビで何回か歌わせたあと、大々的に公開録画をやることになった。 私は開演前に、歌手たちにビタミン剤と称して、悲しみを高める薬をのませた。 観客も大勢集まった。 そこで私は催涙弾をぶち込んだのだ。もっとも、そう大げさなものでわない。 薬品会社からひそかに入手したものを、換気装置からそっと流しただけのことだ。 しかし、あえて私は弾と呼びたい。これがすべての起爆剤となった。 効果は素晴らしかった。会場は涙の渦。 私は、人間は泣くために存在している生物なのではないかと思った。 はずかしいという一枚の殻さえ割れれば、あとはとめどとなく泣けるのだ。 となりの席の見知らぬ同士も、手を握り合い、ハンカチを貸しあう。 年齢も消え、性別も消え、職業も消え、本能に目覚めた姿だけがそこにあった。 これは電波で各家庭のテレビに入る。 もらい笑いというのはないが、もらい泣きという現象は強烈だ。 ひとの泣くのに接するのが、われわれの泣き所なのだ。 理由もなにもなく、胸の中に熱いかたまりが発生し、じんと頭がしびれるのだ。 伝染作用。 そして、泣いたあとの、なんとすっきりすること。 雑念が去り、欲求不満が消え、心が浄化されたようだ。 忘れていたなにか貴重なものを、取り戻したようだ。なんという快感。 この味をしめると、無意識のうちにそれを期待し、要求する。 中毒症状。車輪は転がりはじめたのだ。 涙を流すのは、はずかしいことではない。 この一線さえ超えれば、あとは一本道。 私は、出勤の為に家を出た。 三軒ほど離れた部屋の少し開いた入り口から、男の泣く声が響いていた。 「税金をとどこおらせるおつもりなど、少しもございませんでした。 ああ、わかってください。集金がままならぬなかで、やっとお金はこしらえました。 しかし昨日、昔からの義理のある友人に、ぜひ貸してくれと頼まれ、 私も冷たく追い返すこともできず・・・。」 来客は税務署の人らしかった。 その若い署員は、目の涙を押えながらいっていた。 「お気の毒です。本当にお気の毒です。 あなたの熱い気持ちは、よくわかります。 わたしだってそうするでしょう。 あなたが恩義ある友人を冷たくあしらうような人だったら、 私も無理にでも取り立てるところですが、事情はよくわかりました。 では、また参ります。さぁ、元気をお出しになって・・・。」 税務署員は、ドアから出て行って帰っていく。 私はよけいなことかもしれぬと思ったが、主人にささやいた。 「今の方は、若いのによくできた方ですよ。 いつだったか、税務相談に行っ時、私も人柄を知りました。 徴税の成績が上がらないので、内心では非常に気にしているんですよ。 上役がやさしいからいいものですがね。 納税者への人情と職務との板ばさみになりながら、 その苦しみを表情に出さず、ぐっっと押えて・・・。」 そこまで私が言うと、主人はほえるような声をあげ、 廊下を歩いている署員を追いかけ、すがりついた。 むりやり引っ張って連れ戻す。 「ああ、そんなにまであなたを苦しめていたとは知らなかった。 お金がないことはないんです。子供たちの学校の月謝のお金なんです。 家内が親戚中を回って、借り集めてきたものです。 私もこれだけは手をつけまいと思っていた。 だが、子供がなんだ、月謝がなんだ、家内がなんだ、親類がなんだ。 あなたを手ぶらで帰したら、私の男の地位がすたる。これを持っていって下さい。」 主人は札束を奥から持ってきて、前に置いた。 若い税務署員も、さっきからこらえていた叫び声を、喉からほとばしらせた。 「ああ、ああ、その気持ちに対し、私は口下手でありがとうとしか言えません。 しかし、そんなお金は持ち帰れません。私は公務員だが、鬼じゃないのです。」 「いえ、あなたは仏さまです。私はこれを、お供えさせていただくのです。」 「なにをおっしゃる・・・」 二人は大きく胸をふるわせ、服の部分で涙をぬぐっていたが、 ついに我慢しきれなくなり、肩を抱き合って男泣きを続けた。 二人のとめどない涙は、服を濡らし、 床に落ち、かすかな水蒸気を発散する。 会社の応接室のなかでは、女二人と男一人の涙の三重奏がなされていた。 妻が亭主と女子社員との関係に気づき、やってきたのだろう。 むかしは三角関係というと、殺気をはらんだものだったが、 いまではその角も涙のしずくで摩滅し、やわらかいものとなっている。 虚勢さえ捨てれば、話は通じ合うものなのだ。 「あたしの主人への愛が薄かったからですわ。あたしは悪い妻でした。」とか、 「いや、僕の意思が弱かったから、こんなことになったんだ。」とか、 「いいえ、奥様、あたしの道ならぬ恋がもとですわ。 悲しくても、あきらめねば・・・。」 といった会話が、涙の雨のなかを、ツバメのように飛び交う。 だれも悲劇の主人公になり、エクスタシーにひたれるのだ。 これが真の人生だ。 どうしても泣く感情のない人は、国外への追放となる。正確にはちがう。 追放などという残酷なことが、誰にできよう。 本人が村八分にされたように自分で感じ、自分で出発してゆくのだ。 そんな連中の乗った船は、夜霧の港から出航してゆく。 なぜ船で出て行くのか。それは涙の霧が、国土を覆い尽くしているからだ。 飛行不能の状態にある。電波誘導という方法もあるが、航空管制官だって人の子。 悲しみに浸ってわれを忘れ、どう連絡の手違いをやるかわからない。 そのような船では「蛍の光」の曲のなかで、外国人も帰国してゆく。 外国使臣や貿易業者たちだ。欲しいとも言わないのに、 むやみと途上国に物品を送りつけるかと思えば、払うべき輸入代金は払わない。 商取引きの契約は守られず、講義をすれば泣くばかり。 泣きながら恨めしそうに非難の目をむける。 とてもこのような国には、いる気になれないのだ。 それに気候もおかしくなり、気象学でも説明がつかない。 異質な者はなく、みな同じという気安さから、もうなんの遠慮もなくなった。 変に思うやつも奇異の目で見るやつもいないのだ。泣けるだけ泣けるのだ。 涙はかれることのない泉。 水蒸気はさらにたちのぼり、雲となり、それは雨となる。雨はさびしく降り、 せつなく降り、はかなく降り、なつかしく降る。涙でできた雨だからだ。 なやましく降り、やさしく降り、やわらかく降り、なぐさめるように降る。 それは涙を誘うのだ。 雨は心に染み入り、涙は体からにじみ出る。心ばかりでなく、 体までやわらかくなるようだ。万物が泣いているのだ。 美しく泣いている。草も木も、ビルも道路も、なにもかも・・・。 不気味な状態を感じ、外国のスパイが細菌をばらまいたという。 しかし、なんの効果もあがらなかったという。 細菌など、涙の中で増殖できるわけがない。 核ミサイルを発射した国があったともいう。 だが、涙の雲の中で、不発に終わったという。 涙に立ち向かえる武器があるだろうか。清らかな偽りでない涙に・・・。 外国なら、こんな時に、ノアの箱舟といったものを、 作ろうとする奴がでるのだろうな、と私は思った。 だが、ここにはそんな冷酷な奴などいないのだ。 また、涙で洗われ続け、誰も同じような人間になっている。 誰を乗せ、誰を乗せないなどという区別など、つけようがない。 作るとしたら、私ぐらいなものか。だが、そんな気にはなれない。 ここは私の発案でもある宇宙ではないか。涙の中で、溺れ死んだほうがいい。 甘い、とけてゆくような、気化するような死に違いない。 仮に箱舟を作ったとする。だが、それに乗ってどこを目指せばいいのだ。 涙のない土地へか。ふん・・・。 さて、現在すでにベルファスト滞在3日目なのですが、 アイルランドのダブリンを一日で観光し、 すでに「ジャイアンツ・コーズウェイ」にも行ってきました。 それにしても、書くことがない!!! 私はロンドンの三越で一冊の文庫本を買いました。 「星新一」という作家の短編集。 かなり省略しているが、その中の「涙の雨」という作品を、 そのまま「タビシゴト」にUPしてやった!!! 涙があれば、なんでも出来る!!! しかし長文をタイプするのって、結構疲れるのね・・・。 北アイルランド・ベルファスト 4日目 必殺! 第ニ話 2004/06/22(火) 相変わらず、何も書くこともなく、何も言うこともなく、 ただひたすらアジアを夢みるおっさん、 その名も、「ryupank」でございます!!! 前にベルファストに来た時は、 タクシー・ツアーで、 カトリック地区、プロテスタント地区と、 少々デンジャラスチックなところに行きました。 タシクー代は6000円ちょっと。 前回は3人いたので、割り勘できたのですが、 今回さすがに一人で6000円も出せず、 ベルファストを歩き回り、 気合でその地域を見つけてやった!!! ここはガイドブックに書いてある場所より、 こっちの方が断然面白いです!!! ただ、少々雰囲気が微妙な感じだったりするのですが・・・。 おっと、今日は私がヨーロッパ旅行で身に付けた、 数々の必殺技を紹介!!! その一 今回は時期と場所が悪かったのか、全体的に寒い旅でした。 「防寒着も暖かい心も、日本に忘れちまった!!!」 そんな時は、いったいどうしたらいいのか!? ご安心を。 ヨーロッパの宿やトイレでは、 赤色の蛇口をひねれば、熱いお湯が流れてきます。 これは、もちろんタダ!!! それを、500mlのミネラルウォーターのボトルにいれると、 あら不思議! 携帯湯たんぽになるでは、あ〜りませんか!!! 体の芯から温まりたいときは、 お湯を飲んだって、ノープロブレム!!! さぁ、暖かさを取り戻せ!!! その二 ヨーロッパの飯代は高い・・・。 その上に、あまり美味しいとは言えたモンじゃねー! 自炊が出来れば安くあがるが、 自炊の出来ないときは、高い金を払って、 油ギトギトのチップス(フライドポテト)や、 カサカサ・ハンバーガーを、腹に詰め込まなければならない・・・。 どうにかして、食費を浮かせられないものか・・・? そこで、私は考えた☆ 「蛇口をひねれば、お湯が出るではないか!!!」 ヨーロッパの商店にも、大抵カップ麺は置いてます。 さぁ、遠慮せずに蛇口をひねって、 カップ麺をすすろうでわないかっ!!! ドミトリーの同室の人間の目なんて気にせずに、さぁ!!! ちょっとお湯の熱さが足りず、麺がパリパリだったりもするが、 そんなの、ちょっとしたご愛嬌さっ!(キラッ☆) フォークは、飛行機に乗った時に、もらってこようねっ♪ さーて、私は明日に夜に、リヴァプールに出発です! もうこの旅行が楽しいのか、悲しいのか、 挙句の果てには、もどかしいのか!!!??? 何がなんだかよくわからなくなっていますが、 それでも、フワフワ気分のプカプカ気分で、 いっちょ行ってくるでよぉー! |